『月が近づけば少しはましだろう』ASKAの書く歌詞がもう芸術の域

音楽が持つパワーは計り知れない。

僕の中では生きていく上で欠かせない存在になっている。そんな音楽をあるアーティストのピックアップとしてご紹介したいと思う。

一時ひょんな事で話題になったASKA。

元々は売れっ子歌手なので、知らない人は少ないだろうというくらい日本を代表するシンガーソングライターだ。

ASKAの人気は日本だけにとどまらずアジアでも大人気。その中でも台湾では熱狂的なファンも多く、世界レベルの歌手にまでのし上がった。

まぁ好きな人からすれば、一連の事件はショックだったはず。

しかしそれで彼を嫌いになるか?といえばそうじゃない。というのも、僕自身小学校の時から彼の歌に魅了されていた一人だからだ。

当初はCHAGE&ASKAから始まり、その後にソロデビューとして『はじまりはいつも雨』をリリースした。

何を隠そう、自分が最初に買ったCDシングルがこの『はじまりはいつも雨』だったので思い入れも深い。

ASKAが自分の音楽の始まりだった。

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初めてCDを購入したのは小学校3年の時。

ちなみにお年玉で三枚のシングルを購入したんだけど、今では見ることのない縦長のシングル。そのチョイスがこれ!

・はじまりはいつも雨 ASKA

・替え唄メドレー2 嘉門達夫

・涙のキッス サザン

こんな感じのチョイスだったのでとてもカオスだ。

僕の親が音楽を好きだったので、小さい頃から車の中で流れていたのはCHAGE&ASKAや長渕剛など。

今でも上記のアーティストは自分の心の支えであり、彼らの歌は人生の教科書でもある。

音楽を聞く時、みんなは何を聞く?

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僕は音楽を聞くとき、メロディー、声、伴奏、そして歌詞。色んな角度からその音楽を聞き入れる。そして好きになる。

中でも歌の歌詞にはとてつもないパワーが秘められていて心を揺さぶってくれる。それらの素敵な言葉たちが素敵なメロディーに重なり、様々な感情を僕らに与えてくれる。

ピアニスト・指揮者のバーンスタイン氏がこんな言葉を残している。

何よりもすばらしいのは、音楽が伝えることのできる感情の種類は無限だということである。
言葉で表現できない深い感情までも、音楽は明確に示してくれる。
バーンスタイン

音源を購入した際はまずじっくりと歌詞を読む。とにかく歌詞を読む。

そしてメロディに合わせてもう一度その歌詞を自分の心にインプットする。

アーティストが本来伝えたかったであろう言葉に置き換えるのは少々難しい。これは聞き手によって色んな解釈があるので、それを個人レベルで楽しんだり、人々と共感したり、他の解釈を聞いて感動したり。

音楽には無限の楽しみ方があると思う。

だから毎回歌詞カードにじっくりと目を通し、自分なりにその歌詞を翻訳する。あ〜ここはこういうことだな。こんな気持ちなんだな。とか、それが楽しくて仕方がない。

その中でもASKAの歌詞はかなりの上級者だと思う。普通に読めばなんてことない文章。けれど音楽に合わせてその部分を読んだり、そして何度も聞いているうちにその奥側にたどり着けることがある。

そんな歌詞もあれば、一発目でこれは一体どういうことだ?何をいいたいんだ?そう頭を悩ましてくれる表現なども多々ある。

比喩的な表現をしたら右に出るものはいない!それくらいASKAの歌詞の世界観は美しく、難しく、重く、切なく、そして儚い。

僕は歌に儚さを求める。

若き自分をノックアウトさせたあの言葉

ASKAの歌にこんな歌がある。

『月が近づけば少しはましだろう』

この歌詞の一部を紹介する。

いろんなこと言われる度にやっぱり 弱くなる
いろんなこと考える度に 撃ち抜かれて

恋人も知らないひとりの男になる

壁にもたれて もう一度受け止める
小さな滝のあたりで

角を曲がるといつも 消え失せてしまう言葉だけど
心の中では 切れて仕方ない

この指の先でそっと 拭き取れるはずの言葉だけど
積りはじめたら 泣けて仕方ない

もうこの表現。人間を通り越して神の域に達している。芸術以外の何ものでもない。

なんていうか例え方が本当に独特で、もっとストレートに書けばいいんじゃない?こういった意見も多くありそうだけど、この例え方がまた魅力なのだ。

この指の先でそっと 拭き取れるはずの言葉だけど
積りはじめたら 泣けて仕方ない

指先でそーっと、拭き取れるはずの言葉。

つまりそこまで重い言葉ではなく、普遍的な日常では気にもとめない言葉ってたくさんあると思う。

そんな言葉たちでさえも積もってしまえばかなりの力を発揮する。積み重なれば心がもろくなるのと一緒で、ほんのちょっとした些細な出来事や言葉でも積もってしまえばそれは凶器にもなるのだ。

ASKAがこの歌詞でそう言いたかったかはわからない。

少なくとも僕には言葉の持つ力って言うものを考えさせられるきっかけになったし、言葉だけでなく行動でも同じことが言える。

そうなると目を向けるべき対象は自分自身であって、自分を見つめ直すきっかけとなり、普段の何気ない行動や言葉に敏感になれる。

人が人に与える影響力は凄まじい。

今まで人に与えられた素晴らしい影響たちを自分の中で更に育み、今度は自分がそれをアウトプットする!そういう人間になりたいと思う。

待ちに待った新譜も最高だった!